人はいかにして自分のために料理を振る舞うようになるのか?
大学2年のころに1人暮らしを始めた。しばらく実家から通っていたが、あまりに遠い(2時間強)ことに音を上げてしまった。おじさんたちのぜい肉に文字通りもみくちゃにされながら電車通学するのもつらかった。講義中に寝ていると、なんだか通学時間の分を寝ているみたいで寝起きが悪かった。
1人暮らしを始めると、自然と料理をするようになった。知人にはまったく料理をしない人も多かったけれど、そうした中でわたしは自炊するようになった。どうしてだろうと当時は思った。でも考えてみると、以下の条件が揃ったからなのではないかと思う。
- 生活導線に充実したスーパーがあった
- 調理器具や調味料にそれなりに初期投資をしていた
- 友達が少なかった
これらすべてがかけがえのない要素になったとは思わない。けど例えば、
- わざわざスーパーまで導線を外れる必要がある(買い物が面倒)
- 一口コンロ、厚手の鍋がない、和風調味料しかない(調理が苦痛なルーティンに)
- 友達との遊びや飲みの予定でスケジュールがぱつぱつ(1人の時間がない)
という状況に置かれていたとしたら、継続的な自炊習慣を得ることも、より美味しい料理をつくれるようになりたいと思うこともなかっただろう。だからわたしは自然と自分のために料理を振る舞うようになった。
★★
とかなんとか言いつつ、その後も時期によってはひどい食生活をしていた(例えば賃金労働者になりたての頃などは)。いまだにジャンクフードが食べたくなってしょっちゅう食べるし、それが悪いことだとも思わない。だからまぁ結論とかも特にないんだけど、わたしが食べることや料理が好きなことも、いろんな偶然から成り立っているんだなぁということは今更ながら思う。